.

屋根の葺き替えは、見積もりでトラブルになるということは少ないかと思いますが、話としてよく聞くのはやはり「修繕」。例えば、最初に範囲を狭く、安く見積もっておいて、実際作業に入ってから「これでは出来ません。プラス幾ら必要です」と後から言うのは、自分が施主の立場だと辛い。

当社では、最初に全体の見取り図を描き、修繕した方が良いと感じた点を全てお伝えします。そしてその中にランク付けを行い、1~4は出来るだけ早く行った方が良い箇所、5・6は、急ぎでなくても大丈夫な箇所という風にわかりやすくご説明しています。そうすることでお客様のご予算や、あと何年この家に住むのかなど状況に合わせた修繕をご提案できます。

ただし、屋根の状態により「もう修繕ではどうにもならない」という場合は、きちんとお伝えします。やはりどうしても「無理なものは無理」なところはありますが、極力ご予算やご都合に合わせることを心がけています。

「他の工事屋さんが回ってきて、ちょっと屋根がずれてると言うてきはるけどどうですか?」というお問合せもいただきます。拝見させていただくと、確かになんとなくずれている。でも崩れているわけでもなく、雨漏りもしていないという場合、そんな時は「大丈夫ですよ。前の職人さんがいい仕事してはるんで大丈夫です」と正直にお伝えします。

これも正直自分が施主だとしたら、工事してもあまり代わり映えしないところにお金を使うのが勿体無いなと思うんですね。雨漏りが起きているという場合なら当然修繕が必要ですし、模様替えという意味でも瓦を新しくしましょうということで良いと思うんですが、ずれている程度の修繕は実際ぱっと見わからないんです。処分したり新しくしたりするとお金もかかりますから、使えるものは使うというスタンスですので、正直やったのかやっていないのかよくわからないことになってしまう。

経年劣化でずれてきたりということはありますが、漏れていないことを今すぐやらなければいけないのかというとそういうわけではありません。

利益を一番に考えるのではなく、まずお客様の立場ありきで考えて当社では必要のない工事は必要ないとしっかりとお伝えします。

屋根工事屋というものは、基本現場に出ているところが大多数を占めているんですね。滋賀県内でも当社のように段取りをしている立場の人はそんなにいないんです。例えば、職人さんだとどうしても仕事のやりやすさを優先する面がありますので、修繕だけでは難しいような雨漏りの場合、「葺き替えんと無理や」という言い方になってしまったりしますが、段取りする立場の人間が間に入ることで工務的な発想が少し入って「これで雨漏りを全部止めることは出来かねますが、今よりも軽減できます」という風にお伝えできるようになります。

また各現場によって、状況も様々。職人さんの技量だけでなく、お施主さんも職人さんもやはり人間ですから、人柄が合うかどうかという点も含め、出来る限り考慮して派遣するように心がけています。